英語論文執筆メモ

はじめに

 これは僕が英語論文を書く上で気がついたことや、 英文校正に出して指摘されたことをまとめた、英語論文を 書く上での基礎事項である。日本人が英語論文を書くのは難しい。 欧米の論文誌に出す場合は、できるだけNative speakerによるチェックを 受けることが望ましい。 とはいえ、完全に規則として理解できることは 校正に出す前に直しておくべきであろう。 以下は、英語のニュアンスや 英語らしさといった高度なことの前に、完全に規則として 理解できることをまとめてあるので参考にしてほしい。

 僕は英語論文を書くのが今でも苦手だが、これを読んだ 人が英語を書く上で同じ間違いを繰り返さず、時間と労力の 節約になれば幸いである。

参考文献

英語論文を書く上で、参考になる文献がいくつかある。


基礎事項


名詞

 単語はすべて数えられる名詞(Countable、以下C)と 数えられない名詞(Uncountable、以下UC)である。 数えられる名詞の単数系には必ず冠詞がつく。 どちらか微妙な単語もたくさんあるので、必ず辞書で 確認すること。

定冠詞「the」のつけ方

 よく「初出の単語には不定冠詞、既出の単語には定冠詞」と覚えられているが、 正しくは「限定されない単語には不定冠詞、限定されたら定冠詞」である。 初出の単語でも限定されれば定冠詞をつける。一般的なルールは無いが、 「読者と書き手で対象物が共有されている場合」には定冠詞がつき、 「書き手は知ってるが読者はまだ知らないもの」や、 「特に限定せず一般的に何かを持ち出す場合」は不定冠詞がつく。

  • 規則としてtheがつく場合

     意味が限定されている名詞には、初出でも定冠詞がつく。 規則として覚えることができるのは、次のような場合である。

  • 規則として覚えられないが一般的にtheがつく場合

    図の中で説明されているものにはtheがつく。 また図の中に実線(solid line)が一本しかなければ、 その線は特定されるので、the solid lineとなる。

     一般的に、theがつくと「唯一の」「すばらしい」といった雰囲気が加わる。 「なんとか理論」というときに「The Hogehoge theory」といきなり使ったら、 「あなたも知っているあの理論」というイメージになるし、 「HogeHoge's theory」と書いたら、「(合ってるかどうかわからないけれど)Hogehogeさんの理論」というイメージとなる。

    動詞

     動詞は目的語を取らない自動詞(vi)と、目的語を取る他動詞(vt)に分けられる。 また、自動詞と他動詞で意味が変わる動詞などもあり注意が必要だ。 ちょっとでも怪しいと思ったら辞書で調べるのが良い。 以下は、動詞の規則について。


    記号などの規則

    ・カンマの後は空白を入れる

    誤 Instead of this method,new method was proposed.
    正 Instead of this method, new method was proposed.

    ・列挙の時、andの前にもカンマを入れる。

    誤 The systems of \sigma = 0.02, 0.04 and 0.06 are studied.
    正 The systems of \sigma = 0.02, 0.04, and 0.06 are studied.

    ・()の前は空白を入れる

    誤 Kosterlitz-Thouless(KT) transition
    正 Kosterlitz-Thouless (KT) transition

    ・リファレンスの()の前にも空白をいれる。

    誤 D. C. Rapaport, Phys. Rev. A, 46, 1971(1992)
    正 D. C. Rapaport, Phys. Rev. A, 46, 1971 (1992)

    ・Fig.3(a)などとしたい場合は空白は入れない。

    誤 Time evolution is shown in Fig. 3 (a).
    正 Time evolution is shown in Fig. 3(a).

    ・注釈はカンマの後。

    誤 Hiroshi Watanabe\footnote{E-mail: ....},
    正 Hiroshi Watanabe,\footnote{E-mail: ....}

    ・Fig. の前にはtheをつけない (Fig. 5は固有名詞だから)

    誤 The data are shown in the Fig. 5.
    正 The data are shown in Fig. 5.

    ・et al.はet alia (and others)の略であり、etは略語でないからピリオドをつけない。

    誤 Watanabe et. al. studied ...
    正 Watanabe et al. studied...

    ・略語が文末に来た場合、ピリオドはつけない(重ねない)。 Texだと {\it et al.}とやるので、つい {\it et al.}.とつけてしまうので気をつける。

    誤 Another theory was proposed by Watanabe et al..
    正 Another theory was proposed by Watanabe et al.

    ・略語の直後にカンマが来る場合、空白は入れない。 たとえば、「i.e.(つまり)」を使う時、、 「i.e.,」とピリオドとカンマが続いて気持ち悪いが、その間に空白を入れてはいけない。 "et alia"と"et al."が等価であることが理解できれば、カンマが直後に 来ることが理解できよう。

    誤 ...perfect hexagonal packing configuration, {\it i.e.} , $(\phi_6(0) = 1)$.
    正 ...perfect hexagonal packing configuration, {\it i.e.}, $(\phi_6(0) = 1)$.

    ・\tau \phiといった変数には直接 theをつけない。

    誤 Time evolution of the \phi_6 is ...
    正 Time evolution of \phi_6 is ...

    ・数字を三桁ごとに区切らない(スペースやカンマを入れない)

    誤 A number of particles is 12 345.
    正 A number of particles is 12345.

    ・Thus、Howeverが文頭にきたらカンマをつける

    誤 Thus this method is not suitable for the purpose.
    正 Thus, this method is not suitable for the purpose.

    ・Although のあとはカンマをつけない

    誤 Although, the quadratic packing configuration is...
    正 Although the quadratic packing configuration is

    ・Letterで Acknoledgementの直前は一行あける


    その他前置詞や文法など

    ・「〜と理解される」、は is understood as ではなく to beを使う

    誤 This behavior is understood as the result of the finite-size effect.
    正 This behavior is understood to be the result of the finite-size effect.

    ・他動詞(vt)の受身系に前置詞をつけない。 たとえば、called asとしない。

    誤 This method is called as EDMD.
    正 This method is called EDMD.

    ・〜という手法で調べた、はwithではなくbyを使う

    誤 This behavior can be studied with new method.
    正 This behavior can be studied by new method.

    ・\tau \phiといった変数が文頭に来るのは避ける。

    誤 \xi denotes the correlation length of the system.
    正 The correlation length of the system is denoted by \xi.

    ・ガウス分布のGaussianは固有名詞なので最初は大文字。

    誤 ... and gaussian distributed dispsersion system.
    正 ... and Gaussian distributed dispsersion system.

    ・everyの後は単数形

    誤 We have to search neighboring particles at every time steps.
    正 We have to search neighboring particles at every time step.


    以下は、英語の文法と言う意味では正しいが、英語として 好ましくない文章の例とその修正例(あまり自信なし)。

    ・scalingは UC(?)

    誤 using a dynamic KT scaling
    正 using dynamic KT scaling

    ・必要のない関係代名詞はなるべく省略する

    「N=870の系で、」

    誤 The system with number of particles whichs is $N=870$
    正 The system with number of particles $N=870$
    「〜を予測する理論」
    誤 There are other scenarios which predict ....
    正 There are other scenarios for predicting ....
    一般的に、関係代名詞よりも現在分詞、過去分詞を使った形容が 好まれるようだ。

    ・one can... one wouldなどはなるべく避け、受身にする。

    ・「is done」などは名詞化した動詞を受身にすることで避ける。

    誤 The strict definition of neighbors is done with ....
    正 The neighbors is strictly defined with ...

    ・「〜理論(仮説)に基づいて」はfrom ではなく on the basisを使う

    誤 From the dynamical scaling hypothesis
    正 On the basis of the dynamical scaling hypothesis

    ・関係式などが期待される(be expected)、表現できる(be expressed)は asではなくto beを使う

    誤 The relaxation time is expected as ...
    正 The relaxation time is expected to be ...

    ・否定文を避け、否定の形容詞や副詞を使う

    誤 The resolution was not sufficient.
    正 The resolution was insufficient.

    ・「十分な」はenoughではなくsufficientを使う。(enoughは口語的?)

    誤 This resolution would be enough to ... 正 This resolution would be sufficient to...

    ・Taking, Usingを使ったら、次のセンテンスの主語は人(we, one等)にする。 (人にしない場合はWith)

    誤 Using the saddle-point approximation, the probability becomes...
    正 Using the saddle-point approximation, we have ...
    正 With the saddle-point approximation, the probability becomes...

    ・なるべくformalな単語を使う。

    たとえば、 But より However、So より Therefore、Thusを使う。


    便利、よく使う表現


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